
アスリートキャリアイベントレポート
アスリートのセカンドキャリア問題は本当に存在するのか?!トップアスリートから起業家へ転身し成功している小坂悠真氏(元競泳日本代表/株式会社D4D代表取締役)、山川和樹氏(元ボクシング東洋太平洋ランカー/(株)メイドインジャパン代表取締役)の現役時代から取り組んでいたデュアルキャリアと引退から現在に至るまでの経緯と、現役として次戦に世界タイトルマッチを控える宮尾綾香選手(女子ボクシング元世界チャンピオン)が現在取り組んでいるアスリートIT化プロジェクトによるデュアルキャリアの内容など“選手目線・発信”の新しいキャリア作りについて話すトークイベントを開催しました。

【登壇者】
▪小坂悠真(競泳日本代表/株式会社D4D代表取締役)
元競泳日本代表/ワールドカップ2位。2012年に引退後は、システム開発会社の㈱ルピナスに取締役として参画。Wordpressを活用した自社メディア企画開発等を行う。同時に新卒で入った企業では営業を半年したのち、事業立上げ・事業譲渡を経験。現在は、複数社の取役員として活動をしながら、スポーツを軸とした事業立上げ支援やビジネスコンテスト審査員などを行う。
▪山川和樹(元ボクシング東洋太平洋ランカー/(株)メイド・イン・ジャパン代表取締役)
フリーパーソナルトレーナー活動を経たのち起業。会社を経営する傍ら、プロボクサーとして活動し、東洋太平洋・日本王者、フィリピン王者とも4度戦った。”起業家”と”プロボクサー”のデュアルキャリア経験から、複業・リモートワークなど多様な働き方を推奨し、アスリートのセカンドキャリア啓蒙活動にも力を入れる。
▪宮尾綾香選手 (元女子ボクシングジム世界チャンピオン )
長野県更埴市出身。ワタナベボクシングジム所属。第2代WBA女子世界ライトミニマム級王者。元WBA女子世界アトム級暫定王者。
1部と2部に分かれアスリートのデュアルキャリアについて登壇していただきました。今回は1部の模様をレポートいたします!三名のアスリートの方々の目線からデュアルキャリアという考え方を一緒に見ていきましょう。

司会:それでは、三名の方にスポーツを始めたきっかけからお話をお願いしたいと思います。

小坂さん(以下:小坂)「スポーツを始めたきっかけは、ほぼ記憶がないころから水泳を実はやっていて、幼稚園児の頃に兄が水泳をやっていて、親についていきそのまま送り迎えが習慣でした。兄を待っているときに親からうるさいあなたも入っていなさいといわれ、そのまま水泳をやり始めました。」

山川さん(以下:山川)「僕は、小学校の時に『はじめの一歩』という漫画が一番の始まりで、木を揺らしてはっぱを取るみたいなまねごとをやっていました。でもその時はまだ全然ボクシングはやっていなくて、中一の時に、辰吉さんが世界チャンピオン3度目を題材とした番組がやってたんですが、それを見て再度やろうと鼓舞し、高校に入ったらやろうと決めました。でも高校に行ったら部活がなく、それでどうしようかなと思った時に、トレーニングジムが岐阜にあったのでそこに行こうかなって思ったんですけども、本当にきかっけだなと思うのが、丁度岐阜で久々に日本タイトルマッチが開催されるとなり、それを見に行ったらめちゃくちゃ興奮してすぐにジムに入りました。」

宮尾さん(以下:宮尾)「私は、小中高大とずっとバスケットボールをやっておりまして、それこそスラムダンクとかがすごく流行っていた時期ですごく注目されてまして、流川(スラムダンクキャラクター)みたいになりたいと思い入りました。(笑)でも、そちらは流川にはなれず、短大で引退するときに、もうちょっと燃えきれなかった思いを何かであてたいと思い、その時は○○さんがすごく有名な方で、やってみたいなと思いボクシングをはじめました。」
司会:ありがとうございます。もうすこし現役時代の話を深堀していきたいと思うのですが、現役中の一日のスケジュールを教えていただきたいです。

小坂「大学生のころで、一番大変な時は、朝5時半に起きて、すぐプールに向かい6時から朝8時半くらいまで朝練をし、そこから電車で30分くらいかけて大学に向かい10半頃から夕方まで授業を受け18時とかから3・4時間練習をしていました。一番長い一日だと、オフを作らないといけないので、朝練だけして午後は授業を休みダラダラして、ゲームなどしていました」
司会:ありがとうございます。次に山川さんお願いします。

山川「僕は、キャリアの前半と後半でかなり違うのですが、アルバイトをしていた時代とかですと、朝走り、昼間はアルバイト行き、夜はジムワークしてから、帰宅し洗濯とか身の回りの片付けなどをして後は寝るだけの生活をしていました。しかし、これでは成長しないなと思い、フリーランスになり起業した時などは、走る時間とかも自分の都合のいいようにコントロールして、仕事の時間がすごく短くなったので空いた時間で本屋に行って勉強したりとか体のことを学んだりとかいろいろな勉強をしました。かなり時間を有意義に競技に費やせるようになっていました。なので、前半と後半でかなり大きく違いますね。」
司会:ありがとうございます。宮尾さんは現役ですが、いかがでしょうか

宮尾「今ですと、朝働いて、夕方からトレーニングして、夜帰ってきて、洗濯して寝るという生活をしています(笑)」
司会:ありがとうございます。(笑)次に、デュアルキャリアということについてもう少し話を深めていこうと思うのですが、山川さんは現役中に企業をしたということですが、そのように至った経緯やきっかけなどお聞かせください。

山川「起業の経緯に関して言いますと、もともと起業というものが自分でできるものだとは思っていなかったので、会社に入って課長になり部長になり副社長、社長になるというものを想像していました。ただ、たまたまパーソナルトレーナーをしていた頃のお客様に経営者の方が多く、その方々からお話を伺っていくうちに「これって自分でできるんだ」ということがわかり、30歳になったら経営しようと思いました。実際は26歳で起業しているんですけども、丁度26歳の時に自分がメインで活動していた場所の更新の時期になりほぼほぼクビ状態になってしまい、でも活動場所が無くなるというときに、お客様が自分で(会社)やるなら付いていくよと言ってくださり、会社と交渉し起業しました。最初は食べていけるかなとも思ったのですが、やってみたら行けるんじゃないかということで起業したという感じでした。」
司会:経営してから競技環境が変わったと思うのですが、現役活動にどのように影響を与えましたか?

山川「いくつかあるのですが、生活を送るうえでの不安が無くなることは一番大きかったですね。あとは自由な時間ができる、社員に会社を任せて試合が近ければ自分の選手としての活動に摺り寄せますし、あるていど稼ぎもあるので自費で合宿に行ったり、学ぶためにお金を使えるようになったのは良かったです。あとは最終的には、セカンドキャリアを決める時もビジネスマンとしてやっていたので、ビジネスマンとしてみんな向かい入れてくれたことは大きかったですね。」
司会:選手と経営者を両立してやってこられたと思いますが、引退を決めた理由などは何でしょう?

山川「決めた理由としては、アスリートあるあるなのですが、二回やり直しておりまして、一回目は30歳手前で、もともと体が弱くて怪我がすごく多く、試合二戦目で網膜剝離寸前まで行きまして、体十何本骨が折れたかもわからないんですよ。ダメージも体にあって、次は絶対にけがをしないとかいろいろ考えながらやっていました。丁度2年くらいブランクがあったんですが、復帰するときに自分の中でこれができなければ引退するという決め事を設定しました。それは、大怪我をしないということと、自分が成長していないと感じたら引退するというものでした。ですが、自分が頑張っているプロセスを発信し続けるなかで、30歳では引退するとも思っていました。そんな中、29歳の時にチャンスがあって試合に出たのですがそれで負けて、次の日にはやめますといいました。しかし、30歳になってもぜんぜん成長できるし、自分が想像していた30歳とは全然違う成長できる自分がいて、その後2年間やるやる詐欺のようにやっていたのですが、試合が決まれば怪我をしてしまうということがあり、試合をしないまま2年後に辞めてしまいました。」
司会:ありがとうございます。小坂さんも、起業の経緯などをお聞かせください。

小坂「もともと、祖父が板橋のほうで会社をしていまして、そこから会社を経営するということに強いあこがれを抱いていました。大学の頃に企業系のゼミに入り授業を受けた時に、今一緒に会社をやっている菅原が非常勤講師で大学に来まして、僕は当時水泳の日本一になっていたころで、その菅原というのは、ヨットで世界一周をして戻ってきて起業したという人物でした。そこで、お互い面白いやつがいるなと一緒に食事をし、引退を決めた時その菅原に焼き肉を連れて行ってもらい、じゃあうちで一緒にやるかと言ってもらい、よくわからないままやります!と、スーツケース一つに荷物を詰めて「きました!」と言ってから始まりました。」
司会:ITを選んだ要因はなんですか?

小坂「選んだ理由というと微妙ですが、スポーツって儲からないと実際わかっていました。水泳業界もすごく儲からない世界で、コーチもいい人たちで家庭より選手のことを優先する人たちばかりでして、そういう生活をしていても見合った報酬なのかと思うとスポーツ業界は違うなと思いました。そんな中で、近しいところでどういうところがこれから成長していくのだろうと調べていて、たまたまITなどの急成長を見ていたという理由はあります。」
司会:小坂さんは実際にプログラミングができますが、アスリートとプログラミングの共通点などありますか?

小坂「アスリートは、個人競技か、チーム競技か。それと水泳のようにタイムを競う競技か、テニスのように対人と競う競技なのかで別れると思うのですが、僕のやっていた水泳は、個人競技かつタイムを競う競技で、それはプログラミングにも似ているところがあるなと思います。プログラミングも全部結果が自分に返ってきて、自分で練習してよかったところ悪かったところを分析し、試合結果が出るというところでも、個人競技との共通点がありますね。」
司会:ありがとうございます。次に宮尾さんにご質問ですが、今も様々な資格などを取っていらっしゃいますが、それらの資格を取った経緯など教えてください。

宮尾「今もっているのが、鍼灸資格とweb制作(勉強中)です。鍼灸は将来的のことを考えまして現役中に鍼灸の学校に行きました。その時に、怪我が多くその都度に病院に行くということがめんどくさかったのと、すぐに措置ができたら楽なんだろうな、治るのも早いんだろうなと思い、まずは自分の体で試してみるという思いもあって資格を取りました。将来的に、引退したとき何がやりたいのかとなった時にボクシングに携わりたいという思いはあったので、健康とか医療とかの分野で携わることができればいいなとも考えました。そんな活動を伝える手段としてWebで告知ができるようになればと思っています。」
司会:ありがとうございます。今回デュアルキャリアというテーマですが、一般的にはセカンドキャリアとも言います。実際にアスリートの世界で回りにセカンドキャリアで困ってる、逆に成功している人などどの割合でいるのでしょうか?

小坂「割合かといわれると難しいですね。(笑)ざっくりいうと、半々くらいかと思います。セカンドキャリアなどがうまくいっていない要因としては、水泳でいうと、幼少期からずっと水泳をやっていて、受験なども基本推薦で回っていくんですよ。人生の選択が全部水泳なんですね。水泳のチームが強いとか、好きな選手がいるとかで自分のキャリアが決定されていく。なので、大学の夏引退して「はい、では自分で選んでください」となった時に、「選ぶって何ですか?」となりがちなんです。なので、そういう理由でうまく次に進めていない人は苦労していると思いますね。」

山川さん「そうですね、セカンドキャリアの割合に関しては正直何とも言えないですが、困っている人っていうのが生きていけるかいけないかという話になると、おそらくこの日本で生きていけないということはないんですよね。(笑)なので、そういう人はいない。けれど、こういうビジネスをして関わっていきたいけど、うまくいかないなどはあると思います。ボクシングでは30歳で引退して、それまでビジネスに全くかかわってなかったという人や考えたことがない人は、いざ次、ではビジネスの世界に行こうとなるとそもそも自分に自信がない人が多いのではないでしょうか。ビジネス経験を現役世代で積まないからこそ自分のキャリアを狭めていってしまうという人は苦労してしまうと思います。」
司会:ありがとうございます。宮尾さんは現役中なのであまり考えたことはないかなと思うのですが、周りの選手とかと選手同士で話すことなどありますか?

宮尾「あまりないですね(笑)」
司会:なるほど(笑)現役の中ではあまり話題になりにくいんですね。
次に、デュアルキャリアを考えるうえでいろいろなコンテンツやサービスなどを利用するかと思うのですが、こういったサービスが面白かった、選手目線からこういったものは違うと感じる話があれば教えて下さい。

小坂「今まで一般的なイメージとして、スポーツ系は営業ですみたいな空気が、僕が就活を始めた時代はありました。そこから世の中が変わってきて、どうやら体育会系は営業以外もそれだけだと世の中が満たされないなとなってきて、マイナーな競技、マクロスの選手とかはコーチがいないなかでも自分で戦術を考え対策を考えて競技に挑んでいるわけでそういう人たちが社会人につかえるなという話が出るようになってきています。そんな中で、アスリートをIT化するというコンテンツは面白いと思いますね。自分の宣伝みたいになりますが。(笑)」

山川「もう小坂さんが言ってくれたところはその通りだと思います。どうしても、体育会系は営業という仕事が中心になる世の中だったんですが、そこをITなどの仕事にシフトしていく、採用されていくなどという流れは新しく面白いと思います。」
司会:宮尾さんも、周りからアスリートは困っているんでしょ?などというイメージでいわれたりすると思うのですが、イメージとは違うと思っていることや周りから言われて困ったことなどありますか?

宮尾「そうですね。結局体しか動かせないんでしょといわれるとちょっと心外ですね。(笑)確かに、体を作ることに関してはたけているとは思いますが、その体を作ることだって、化学があったり統計があったりしてそれを見て行っているので、もっと繊細なんだよとも思います。」
司会:ありがとうございます。次に、小坂さんと山川さんにお伺いしたいのですが、お二人は選手として活躍しながら起業し、経営をしていますが、アスリートとして過ごしてきたと事と経営者として歩むという共通点や違う点などありますか?

山川「そうですね。チャレンジしたら人も付いてきてくれる、僕は選手時代飛び級のように試合などにチャレンジしていってそういう精神にも人は付いてきてくれましたね。そのチェレンジをブログなどで発信していくことによりそれが本当にどんどん応援が広がってくれて、そういうところは企業も一緒かなと思います。俺の場合なんですが、ボクシングスタイルと起業スタイルが似てきてるんですよね。」

小坂「おお」

山川「けっこう慎重にリスク管理していきたい人なんですけど、ボクシングスタイルもそうですし、起業したらやっぱりそういう感じなので、スポーツのポジションや戦い方というものも似てくるのかなと思います。」
司会:なるほど。逆にここは違うな、などと感じるところはありますか?

山川「違いは、やっぱり競技の場合ってゴールがあるじゃないですか。試合して優勝するとか。でも、企業は、もちろん前提とした目標に向かうのですが、どうしても積み上げ型になりやすいというところは違うと思いますね。」

小坂「違いの話でいうと、僕は相手がいるというのが大きな違いだなと思います。水泳だとレーンが限られていて、横を向けば対戦相手がいる場合もありますが、基本対自分の戦いなのでそこの違いはすごくありますね。あと役に立ったところでは、山川さんの話を聞いてそうだなと思ったのですが、僕の競技って個人メドレーというもので4種目泳ぐ種目なので、理論上背泳ぎ、バタフライ、クロール、平泳ぎと世界一の人の真似をすれば世界一になれるという種目だったので、結構真似が得意でした。ビジネスの現場でも、この人うまいなとじかこの人いいやり方だなとか思うと自分に取り入れて自分のものにしていくということがありますね。」
司会:ありがとうございます。現在のこのビジネス思考になって、このまま現役にもどったらもっと成績がよくなっていたのではないか、など思うことはありますか?

小坂「思います。(笑)めっちゃ思います。いやでも、たぶん結果出ないと思うのですけど、山川さんは(現役で経営を)やってましたもんね。」

山川「いやぁ、僕は世界チャンピオンなってたでしょうね(笑)っていうのは、実際そういうのがあってほしいというのもありますし、実際後半から伸びてきたのもあったんですけど、やっぱりそういうのがあったからこそじぶんは結構いろんなことを考えて戦略的に細かいところまでやっていたので、そんな自分だったからこそ、日本タイトルマッチをもう一回挑戦したときに、チャンピオンも試合を受けてくれてチャンスを掴めることができたので、もしかしたらちゃんと(起業せず)していたら、そんな未来もなかったかもしれないですから。」

小坂「途中から思ったのですが、アスリート時から発信をしていた分違うなとは思いますね。SNSとかで発信すれば競技結果はさておき、引退した後も会える人もいるとかフォロワーさんがいてくれたりとかはよかったですね。」

山川「発信でいうと、僕も結構チャレンジングなことをしていて、一時期引退じゃないかと思われるくらい成績が出なかった時がありまして、その時に2年ほどブランクを作って、それで復帰するときに「チャンピオンになるための教科書」っていうブログを書き始めて、半分自己啓発的なことを書いてました。それで発信していくことで逃げ道をなくしいって、ファンも応援してくれるのでそれによってよりもっと頑張らないというメンタルの面で自分を追い込んでいって、周りを巻き込んでいっていたのはすごい大きかったとおもいます。」
司会:ありがとうございます。次の質問に移りたいと思うのですが、実際経営者をやっていてどんなアスリートと仕事をしたい、雇用したいなどを聞いていきたいです

小坂「そうですね。練習をどれだけ考えてやっていたかなどは聞きます。トレーニングなど毎回どんなテーマをもってやっているか、そのようなことを意識づけてやっている人と働きたいと思いますね。」

山川「僕も似ているのですが、コミュ力があるとか体力がある、結果にコミットするなどはアスリートって当然に染みついてできることだと思うんですよ。でもプロセスの部分で、数あるプロセスを因数分解して考えて組み立てていくことができるか、それを繰り返し改善することを現役中からできてる人は仕事をしたいなと思っていて、ある程度、ビジネスじゃなくても自分で考えだして行動してきている人というのは欲しいと思います。」
司会:宮尾さんは、お仕事もされておりますが、アスリートから経営者の方などにアスリート雇用の理解してほしいところなどありますか?

宮尾「そうですね。まずは、競技をやっているということを一番に考えてほしいですね。そして仕事の内容が、これだったらできるよね・スポーツ選手だからできるでしょと偏りがあると苦しいので、選手はリーグに行きたいなどの目標があると思うので、少しでもそこに寄り添って理解していってもらいたいです。」
司会:ありがとうございます。小坂さんと山川さんも元アスリートであり、アスリートの気持ちもわかると思いますが、他に、これからアスリートを雇用しようと思っている企業や経営者に理解してほしいところなどありますか?

小坂「僕も苦しんだところなのですが、アスリートが社会に出るとすごく落ちてしまうんですね、今まで世界で戦ってきていきなり普通の大卒の人たちとよしがんばれと言われてしまうと、世界が違うあまりにうまくできなかったりしてしまう。そこでの、経営者側のケアって大事で、どうしても自分はこんなところにいる人間じゃないと思ってしまうアスリートに、一年目なんだからできなくて当たり前だということに気づかせてあげることは特に大事だと思います。」

山川「そうですね。選手としての活動をある程度応援してくれる環境以上のものはないというか、しっかりと支援してくれるとか、メンタル的なケアしてくれるとか、やっぱり、雇用側だとわからない選手側の事情なども考慮してあげられることは大事だなぁと思います。」
司会:ありがとうございます。では次にお互いに質問があればお聞かせください。

小坂「あの、おそらく二部で宮尾さんの現状のお話が聞けると思うのですが、今プログラミングを始めてどうですか?やはり、生活にも変化が出てると思うのですが。」

宮尾「そうですね、やはり生活には今までにないものが加わってきて、違和感です。今の段階ではまだやらないととうか、まだ自分の物になっていなくて、何かの作業をするにしても確認しながら進むのでスムーズにできずにもどかしいです。」

小坂「それが、もう嫌だってならないのは何でですか?」

宮尾「それは、悔しいからです。(笑)」

小坂「なるほど(笑)」

宮尾「やっぱり、始めたものは成し遂げたいという気持ちは強いですね。」

小坂「ありがとうございます。」

山川「お二人に聞きたいんですけど、練習のやり方などで意見が違う先生などの言うことって聞いていましたか?」

小坂「とりあえず、議論をしますね。そして、喧嘩して別れて帰ってました(笑)」

宮尾「私は、「なんでですか?」と聞いてました。こうやればいいんだよって言われたときに、いやちょっと分からないです。と一回その時の練習を止めてでも聞きました。トレーナーの言っている「良い」を知りたいし、私の中で理解できない部分はかみ砕いて説明してもらわないとわからないですという言い合いはしたことがありました。」

山川「僕も、やっぱりお二人と同じなのですが、ある程度やることに対して納得しないとできないし、ある程度デュアルキャリアがうまくやっていける人ってそこがちゃんとあって、ただ言われたことをやる人っておそらく仕事もらってもただやるだけで、いつかうまくいかなくなると思います。」
司会:宮尾さんからはありますか?

宮尾「起業って決めてからどれくらいの期間で実際起業できたんですか?」

山川「僕は、(起業しろと)言われて急遽起業しました。(笑)やっちゃえと思いました。とにかくリスクを減らしてお客さんもいたのでこれはできるんじゃないかと思ったのもありましたけど、目標的には30歳にやることを当時26歳でやったので、本当に急遽でした。しかも、日本タイトルマッチの一回目が決まった時にその話が出てきたので、選手の集大成のようなこのタイミングでまさか来るとはと思い、選手としても全力で走りながら同時進行で企業の準備もやっていきました。

小坂「僕は気が付いたら起業していましたね。僕は、企業が別にゴールではなくてその先に目標があることに気が付いて、別に会社員でもよかったのですが、やはり祖父の生き方が好きで、祖父の生き方側に進んでいっていました。急遽というよりは気が付いたらという感じですね。」

宮尾「ありがとうございます。」
司会:では時間も迫ってまいりましたので、最後にデュアルキャリアを考えているアスリートの方々にメッセージをお願いします。

小坂「これから2部のほうでも話があると思うのですが、プログラミングの教室でもすごく丁寧に教えてくれる環境があって、それこそ、アスリートって数学とか関数とか苦手なところがあると思うんですが、やってみるとプログラミングもスポーツとすごく似てるところがあることに気が付くと思います。面白そうだな、どうしようかなと思ったら、とりあえず、二か月でもやってみてください。それで、ダメだったらここにいる3人の誰かにツイッターに「どういうことだ」と連絡してください。(笑)」

山川「まずアスリートの方なんですけども、アスリートの方って体を休める時間って必要で、そういう時間をプログラミングとか学ぶ時間にしてみてください。あと、できればビジネスキャリアを積んでセカンドキャリアに問題がないという状態を作っていただきたいです。あと何かあったらツイッターで連絡してください。あとフォローお願いします(笑)あとは企業で働く方に向けてなんですが、この人生100年時代と言われる世代で、セカンドキャリアって誰もが向き合わなければならない問題だと思うので、その中でアスリートは昔からセカンドキャリアを問われていた世界なので、アスリートのセカンドキャリアというものがデュアルキャリアという形でロールモデルみたいなものができてくれば、一般の方も参考にしていただけると思います。そういったことを、今日聞いてくださった方々含めて皆さんと啓蒙していければと思います。その啓蒙にはやっぱりツイッターが必要なので皆さんフォローしてください(笑)よろしくお願いします。(笑)」

宮尾「私はまだセカンドキャリアをどうやって過ごす計画ははっきりとは思い浮かべられていないのですが、今回お二人の起業の話などを聞けてとても勉強になりました。プロボクサーとしても、これからプロボクサーではなくなっても楽しくやっていこうと思います。そして、楽しくやるために、9月27日ベトナムで世界戦があります。頑張ってまいりますので応援よろしくお願いします。」
司会:それでは、お時間となりましたので第一部はここで終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました!宮尾さんには引き続き第二部のほうでもお話をお伺いしていきますので、よろしくお願いします。
この記事へのコメントはありません。